48年前我々は金の卵といわれた時代があった。
中学を卒業して一流の大企業に就職が出来た。
私は日立製作所に入社した。
今だったら大卒でも入るのが難しい会社だろう。
そんな会社を私は半年でやめた。
今考えると随分無茶をしたものだと思う。
その頃の皆の夢はマイホームを持つことだった。
辛抱して会社に勤め、コツコツと貯めたものを元手にして頭金に当てた。
私は東京にマイホームを作るなんて考えもしなかった。
だから、はなから無茶をしたのだろう。
日立をやめて入ったところは小さな靴屋さんだった。
従業員は50人程度で、家族的な雰囲気を持った会社だった。
高度成長期の頃で、昇給も、賞与もうなぎのぼりだった。
残業もほとんどなかった。
昼休みや仕事が終わった後は近くの公園で野球をして遊んだ。
日曜は、登山、野球、映画、などを楽しんだ。
今より給料は少なかったが生活に余裕があった。
仕事のほかにアルバイトをすることなんてなかった。
……
ところがどうだろう、昨今はダブルワークと言って二つの仕事をしている人もいるようだ。
勿論、共働き家庭の割合も昔より多い。
平日は会社で働き、日曜はアルバイトをする。
あるいは、仕事が終わってアルバイトをする。
一体世の中はどうなっているのだろう?
進歩しているのか、衰退しているのか?
若い主婦の方が言っていた。
「私の父の時代は、仕事を二つするなんて考えられなかった」と。