抜けるような青空が広がっていた。
春なのに春風らしからぬ風が吹いていた。
陽光に照らされた新緑は瑞々しく輝いていた。
薄暗い竹林を抜けると猫の額のような公園があった。
その横に小さな墓地があった。
うっそうと茂った雑木が墓地に覆いかぶさっていた。
何処からともなく、うぐいすの鳴き声が聞こえてきた。
肌寒いころに聞いたうぐいすの音色と違っていた。
小高い丘に登るとキラキラ輝いている海が見えた。
田舎に行くと癒されるというより、安心できる。
ユッタリとその身を時空に預けることが出来る。
……
どんなに気取っても、美辞麗句を並べても田舎のよさは書きつくせない。
田舎の原風景に触れたときに感じる、あの細胞のどよめきは表わすことが出来ない。
それは、私すら知らない、個々の細胞だけが知っている。