正式な呼び名は分からない。
小さい時から、こんなふうに呼んでいた。
多分、人形の形をしているから、こんなふうに呼ぶようになったのだろう。
年に一度、おくんちに神社の境内で奉納相撲大会があった。
各部落から代表が出ているので、町中の人が集まってきた。
私たちも、2時間ほどの道のりを歩いて見に行った。
今思うと、何が楽しかったのか皆目分からない。
2時間も歩いていくだけの価値があったのだろうか?
ワイワイ、ガヤガヤいいながら神社に行くことに価値があったのかもしれない。
もっとも、当時は価値なんてくだらないことは考えなかった。
人形の実は神社の鳥居のすぐ横にあった。
椎木林に遠慮するようにひっそりと佇んでいた。
その実をちぎって、赤い部分だけを食べた。
今日神社に行ったら、赤い実をした人形の実がなっていた。
食したが、素っ気のない味がした。