青春に後悔はつきものである。
取り返しのつかない後悔もあるだろう。
どこでもドアがあるなら、後悔を取り返しに行きたい。
取り返したところで青春は取り戻せないが?
病室は階段を上がって右に曲がり、一番奥にあった。
ノックをすると聞き覚えのある声がした。
おそるおそるドアを開けた。
白いレースのカーテンが風に揺れていた。
陽光が白いシーツに反応してキラキラ輝いていた。
窓際の赤い薔薇が一層際立って見えた。
それはあたかも、白いシーツの上に横たわる先輩のようだった。
久しぶりに見る先輩はとてもまぶしかった。
かける言葉を失うほどまぶしかった。
実際言葉を失って突っ立っていた。
先輩が口を開くのを待っていた。
「湯~野くん……?」
「…………」
「懐かしい、元気だった、クラブは行ってる」
矢継ぎ早の質問にただうなずいた。
何年ぶりだろう、先輩に逢うのは。
質問にうなずきながら、先輩の瞳を見た。
優しい瞳は2年前とちっとも変わっていなかった。
ただ、こけた頬が気になった。