先輩の前に「もう、疲れました」と言って、はがきの束をおきました。
先輩は馬鹿みたいにポカ~ンと口を開けて、「な、何」って発しました。
その言葉を聞いて、今までの想いは全て氷解しました。
私は、独り相撲を取っていたのです。
先輩は、ただ単に一人の可愛い後輩と見ていたのです。
私は、一人の男性と見ていたのに。
全てを打ち明けました。
高校から、ずっと想っていたことを。
そして、今も!
でも、終わりにします。
もう、疲れました。
……
無言で、喫茶店を出て、駅まで歩きました。
一緒に歩くのもこれが最後だと思うと、無性に悲しくなりとめどなく涙が落ちてきました。
駅で、最後の別れをしました。
雑踏の中でひょうひょうと歩く、先輩の後ろ姿を見つめていました。
涙で、先輩が見えなくなるまで。
……
あれから30年、先輩はどうしているのでしょう。
相変わらずひょうひょうとして歩いているのでしょう。
風に揺れる柳の木のように!