豊になれば幸福になると、いう方程式は間違いである。
豊かさを経験してようやくそのことに気づき始めた人が増えてきたのではないだろうか。
だから、ゆとりとか、ロハスとか、ライフバランスという言葉が出てきたのだと思う。
社会は波間に浮かぶ小船のようなもの。
傾きすぎると誰かがバランスとって正常に戻してくれる。
そうやって、崩壊を免れてきたのではないだろうか。
……
43年前15の春に豊かさを求めて東京に行った。
一生懸命働いて、大方欲しいものは手に入れた。
しかし、今思うと豊かさを求めていながら、実はゆたかさから遠ざかっていたのかもしれない。
東京に出たとき大方のサラリーマンの夢はマイホームを持つことだった。
働いて、貯蓄をして、頭金をためると東京近辺に土地を買っていた。
結婚するころにローンで家を建て寮から出て行った。
全てではないけど大方の人がこんな夢を持っていた。
地方から出てきた人はこの夢を実現したのではないだろうか。
夢は実現したけど幸福になったのか?
それは、その人に聞いてみないと分からない。
幸福と感じる人もいれば、不幸と思う人もいるだろう。
今、社会に蔓延している問題を見ると、豊かさと幸福はイクオールで結ばれていないのかも知れない。
それは、偏った豊かさを求めてきた結果なのかも知れない。