最期の線香花火から赤い玉が落ちた。
赤い玉は粉々に砕け、小さい光の粒となって闇に消えた。
そんな光景をテレビの画面を通してみた。
その向こうに、ず~と向こうに薄暗い庭が見えた。
祖母の周りを子ども達は囲んでいた。
ひとりひとり線香花火を手に持って。
はじける光に目を奪われながら。
……
夏の終わりを惜しむかのように、温度はうなぎのぼりに上がっている。
まるで、最期のあがきをしているようだ。
そういえば、今年の夏は、風物詩を味わってないな~。
海水浴・花火・夕涼み・かき氷・花火・盆踊り……
ひと夏毎に段々と風物詩から遠ざかっている。
そんなことを、フッと感じた。
『風物詩 なくならないのは 墓参り』