20歳のときに失くして以来腕時計はしたことはない。
街にはあちこちに時計はあるし、腕時計を買いたいと思ったこともない。
それに、最近は携帯があるので尚更である。
ところが先日、腕時計も悪くないな、と思う出来事があった。
96歳の義母さんが「腕時計が止まったのでみてくれんね」という。
みて見ると直径1センチぐらいの小さな時計。
私が見ても文字盤がボヤっとしか見えなかった。
針はたしかに動いてない。
「壊れてるみたいですね」
「そうね」
「どうしますか」
「こうて(買って)きて」
「時計を使うことありますか」
「買い物に行ったとき、バスの時間を……」
そういえば義母さんは路線バスに乗って買い物に行っている。
なるほど、携帯を持っていない義母さんには腕時計は必要だろう。
義母さんは買い物が好きである。
買い物依存症ではないだろうか?と思うほど。
時には訳の分からないものを買ってきているときもある。
「何か分からんけどこうてきた」と平気でいる。
スーパーはバス停から歩いて10分のところにある。
その道のりを週に3回ほど往復している。
最高のリハビリである。
……
今日時計屋さんに連れて行って時計を買ってきた。
時計屋さん曰く「96歳になって腕時計を欲しがるなんてすごい」
目盛り版の見やすい、赤のバンドの可愛い腕時計を買った。
ショーウィンドーを覗いていたら私も腕時計が欲しくなった。
22日は妻の誕生日なのでペアの時計でも買ってみようかなと思っている。
携帯を覗くより腕時計を覗いたほうがオシャレである。