なぜ、坂の上の雲を手にとったのか?
一言でいえば、日本・日本人とは何かに興味を覚えたからです。
5月に宮崎中央新聞の読者会に参加しました。
数日して宮中から一枚のCDが送られてきました。
境野勝悟氏の『日本のこころ』というタイトルの講演録でした。
花巻東高校で高校生に対しておこなった講演。
それを聞いたとき、久々に感動しました。
今までに聞いたことのない内容だったから。
・・・
境野氏がミッション系の高校の教師をしていたときのこと。
卒業式で校長先生(ドイツ人の神父)は
「きょうは、諸君たちと、お別れしなくてはならない。
だから、さようならと言わなければならないが、さようなら、と言いたくない。
なぜかというと、『さようなら』という意味が、はっきりわからない。
わたくしは、もう、30年も日本に滞在しています。日本に来たときから、
さようならの意味を知りたくて、たくさんの日本人にこの意味を聞いたのですが、
だれ一人として、この意味を教えてくれません。
そこで、きみたちとの大事なお別れに、意味のわからない『さようなら』といっては、
無礼になるんじゃないのか、と思って、今日はさようならの代わりに、
『グットバイ』という別れの言葉を差し上げましょう。」
そして、『グットバイ』、『シー、ユー、アゲイン』と言って壇上から降りたそうです。
以来、境野さんは、さようならの意味を調べるために10数年をかけました。
そして、「さようなら」ということばの意味は、けっして「グット・バイ」に劣らない、
日本人のこころがしっかりとこもっているすばらしい別れの挨拶で
あったことがわかったのです。
・・・
講演録を聞いたのをきっかけに日本に対する興味が広がりました。
境野勝悟さんの『日本のこころの教育』に始まり
吉田満 『戦艦大和ノ最期』
辺見じゅん 『男たちの大和』
吉村昭 『戦艦武蔵』
そして『坂の上の雲』
なぜか、戦争の本になっていました。
で、日本人とは何か?
礼と和ではないだろうか?