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こころ支援研究所からの*笑顔ブログ*

黄砂

2年前の3月今年と同じように黄砂が舞っていた。
それを私は病室の窓から眺めた。

黄砂_e0127995_226344.jpg


入院して1ヶ月病院生活にも慣れてきていた。
慣れるまでは本も落ち着いて読めなっかた。

仕事をしないことへの罪悪感と、取り残されるのではという焦燥感に駆られ、
精神的に安定しなかったのである。

慣れてきたら落ち着いて本も読めるようになった。
そんな時、手に取ったのが、ユン チアンの『マオ』であった。

副題に『誰も知らなかった毛沢東』と書いてあった。
私は毛沢東に興味があって手に取ったわけではなかった。

数年前に『ワイルドスワン』という本を書いたユン チアンに興味があったからである。
『ワイルドスワン』を読むきっかけになったのは、すごくくだらなかった。

作者が1951年、私と同じ年に生まれていたからである。
きっかけはくだらなかったが、すっかりユン チアンに魅了された。

以来、彼女のファンになり次に出版される本を待っていた。
タイミングよく入院中に本が出版された。

出会いは絶妙なタイミングで訪れる、というのは本当だ。
入院中でなかったら、この大部の本は読み通すことができなかったと思う。

膨大な資料を踏査し、多くの関係者に直接会ってインタビューし書き上げられたらしい。
らしい、と言わざるを得ないのは、書かれていることがにわかに信じられなかったからである。

今まで、教えられてきた毛沢東のイメージとはあまりにもかけ離れていた。
最初は、半信半疑、恐る恐るページをめくっていった。

毛沢東は中国共産主義体制を作り上げた英雄と思っていた。
教科書には、チャーチル、ルーズベルト、スターリンなどと一緒に載っていた。

高校の頃、毛沢東語録を持って読んでいるのがいた。
だから、毛沢東は清廉潔白で正義感の強い人と思っていた。

でも、ページをめくるにつれイメージは崩れていった。
毛沢東は確固としたイデオロギーを持たず、カリスマ性もなく、自己チューで、残虐であった。

毛沢東の一生は権力闘争に明け暮れた、と言っても過言ではない。
喰うか喰われるかの世界で戦ってきたのだから仕方がないといえば仕方がない。

その、精神力や生命力は凄まじいと思う。
しかし、その反面、単なる野心家で好色家にすぎなかったのだ。

彼の前ではヒトラーも色あせて見える。
彼は中国全土に渡って残虐の限りを尽くした。

その犠牲者の数は、何千万とも言われている。
特に、大躍進の失敗によって農民の犠牲が大きかったらしい。

『マオ』を読み終わった後、舞い降りる黄砂を見ながら私は思った。

この、黄砂の中には中国人民の血と汗と遺伝子が含まれているのだ、と。

勿論、3、4日前の黄砂にも、だ!
by cocoroshien | 2008-03-08 23:23
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