純白のレースのカーテンがまぶしかった。
黒髪が一層際立って見えた。
やつれた顔を見るのは辛い。
青い筋がはっきり見える。
話したいことはいっぱいあるのに言葉が出てこない。
どんな言葉をかければいいのか……?
察したかのように先輩が声をかけてくれた。
「遠くからありがとう」「どのくらいかかった」
「上野から3時間」
「そう、ゴメンね!」「みんな元気」
「元気」
窓辺に寄ってカーテンを開けた。
木の葉がキラキラ輝いている。
去年の夏休みは先輩と卓球を楽しんだ。
薄暗くなりかけた校門をくぐり学校に行くのが楽しみだった。
仕事が終わるのが待ち遠しかった。
自転車を力いっぱいこいだ。
汗を流しながら体育館に滑り込んだ。
キュキュ、とシューズの音がする。
爽やかな笑顔を振りまきながら先輩が手を挙げている。
その先輩も今はベットの上。
運命は分からない。
夏休みが終わるまでは元気だったのに。
2学期になったのに先輩は姿を見せなかった。
先輩の安否が分かったのは暮も押し迫ってからだった。
このとき、ドアが開いた。
迎えが来た。