朝起きたとき93才の義母さんはいなかった。
ゲートボールの大会に出かけたそうだ。
家内と息子もドライブにいくといって出かけた。
今日は何の用事もない。
部屋にこもって、のたり、すごすことに決めた。
たまには小説でも、と坂の上の雲を手に取った。
100ページほど読んだところでやめた。
窓から差し込む陽光に目がチカチカしたから。
陽射しが生温い。
身体全体をホンワカと包んでくれる。
外をぼんやり眺めていると、こころまでホンワカになってくる。
川辺の菜の花が色鮮やかだ。
ススキの穂が風に揺れている。
木々はまだまだ深い緑だ。
新しい芽を吹き出すためにエネルギーを貯めているのだろう。
グランドは人っ子一人いない。
魚のいない水槽のようで、なんとなく寂しい。
窓を開けると冷たい風が入ってきた。
見た目は春だが、あちこちに冬の残り火がある。
でも、その火もまもなく消えるだろう。
来週には桜の便りが聞かれる勢いである。
先週は博多で桜が開花した、とテレビが告げていた。
観測史上最速とアナウンサーが目を丸くしていた。
こんな感じで、ひねもすのたりのたり、過ごした。
たまにはこんな感じも悪くはない。
但し、いつもこうしているとボケそうだ。